私撰流行語大賞 第三回 (2002年)

主文

毎年恒例となりました、私撰流行語大賞も今年で第三回を迎えました。2000年は「ミニにタコができる」、2001年は「稲垣メンバー」と二年連続して芸能部門が大賞を受賞していますが、今年はどんな言葉が受賞したのでしょうか。いよいよ発表です。

大賞:「鈴木さん、あなたは私たちの友達です」
大賞は鈴木宗男が建設に関与した国後島の友好の家に掲げられた横断幕の文字の言葉「鈴木さん、あなたは私たちの友達です」が受賞。鈴木宗男がらみでは他にも本家でも選ばれた「ムネオハウス」をはじめ、「ムネムネ会」、「疑惑のデパート」などまさにムネオ部門という部門を作ってもいいくらいに数々の言葉を生み出したが、あの横断幕の写真を見せつけられたときのインパクトの大きさからこの言葉を大賞とした。正直言ってこのような横断幕くらいつけてもいいと思うのだが、鈴木宗男が北方領土の外交問題を私物化していたことを象徴するものとしてあまりにもはまっていたためにここまで大きくとりあげられたのだろう。ちなみに、「鈴木さんは私たちの友達です」という省略形が出回っていた。こちらの方が通りがいいからだろうか。
政治部門:「平成の大合併」
今年になって全国で市町村合併の動きが本格化。明治の大合併、昭和の大合併と並んで、平成の大合併と称されている。パソコンの画面を指でぐいぐいと押していた大臣が市町村の数を1000台にすると発言するなど、国が市町村削減に積極的になっている一方で、新市の名前でもめて合併がご破算になったり、市役所の場所でもめて不自然な形での合併になったりで、必ずしも順調にいっているとは言い難い状況である。また、南アルプス市など、これまでの市町村名の常識を覆すような名前も生み出されている。市町村合併の動きは2005年の合併特例期限まで続くであろう。あまりにもうまくいかなくて延長されたりして。
社会部門:「PS2? 捨てちゃってよ」
マイクロソフト日本法人の当時常務だった大浦博久氏のインタビュー記事の見出しから。このインタビューで「え、「もうテレビの下が一杯で入らない」だって? PS2があるから? そんなもの放り捨てちゃってよ。」と発言。今年の2月22日にマイクロソフトがXboxを発売するも、メディアに傷が付く問題で一気に下火に。傷問題は確かに大きな躓きだったが、はっきり言ってしまえばゲーム機自体に大衆に訴えかける魅力がなかっただけというような気がする。マイクロソフトの一般家庭のテレビの下に置かれるハードを目指すという思惑(それが例の発言につながるわけだが)とは裏腹に、一部マニアが信奉するだけの存在になった感がある。
社会部門:「コピーコントロールCD(CCCD)」
このページでも度々話題にしているCCCD。今年頭にavexが導入して以来、続々とレコード会社各社がこれにならう中、音楽マスコミはこの話題には触れず、情報技術系のメディアの方がこの問題について取り上げられているという状況となっている。ただ、音楽を作る側の人たちがこの問題について触れるようになってきているのは光明か。それにしても「コピーしたいから反対なんだろ?」と発言する人は、コピーをコントロールする仕組みとその仕組みが及ぼす影響についてこれっぽちも考えていないのだろうか。ところでCCCDであるが、例の集会に出て「しーしーしーでぃー」と読むことがわかった。私は「マガイモノ」と読むべきかと思っていたのだが。
芸能部門:「前の方、座らないでくださーい」
浜崎あゆみがライブで発した"暴言"。身体障害者に対して発言を行ったという情報が流れたり、事務所は言葉を浴びたのは関係者だったと発表するなど、とにかく情報が錯綜。ただ発言を行ったというのは、映像で記録されている通りで事実であり、このことについて本人が一言謝ればよかったのではないかと思う。言われた本人はかわいそうだが、個人的にはいろいろな意味で興味深い発言だと思う。浜崎あゆみ自身はコミカルなコマーシャルに出たり、テレビ番組の司会をしたりするなどやや消耗気味。来年あたり正念場か。
国際部門:「テーハミングク」
ワールドカップで4位になった大韓民国の現地読み。異国語を日本語にしているので表記は様々なのだが、ここではこの読みで。今年のワールドカップで4位になった韓国だが、審判のジャッジ問題もさることながら、韓国の応援姿勢が問題となった。「アズーリの墓へようこそ」「ヒトラーの息子たちは去れ」などといった韓国サポーターが発した暴言が世界中に流れ、某女性タレントが「もうキムチは食べない」と発言する始末である。そして、韓国以外の国同士の対戦で「テーハミングク」の大合唱。そういえば、韓国ではワールドカップのチケットが全然売れなかったのであった。どう見ても韓国サポーターの行為はやりすぎだと思うのだが、日本側では、日韓共催のワールドカップなのだから韓国を批判せずに応援しよう、という論調が主流的だった。

まとめを書くと、テレビや新聞などの既存マスコミでは軽視、無視されているが、インターネットで大きく取り上げられた話題に関する言葉を、結果的に多く選んだ気がする。私がインターネットの情報に依存している現れだろうか。知らせたい情報を知りたい情報が乖離していることの現れだろうか。