この旅は宮脇俊三著「最長片道切符の旅」で宮脇さんが乗った1978年11月当時の国鉄最長片道切符のルートを実際に辿ってみようとするものである。
「最長片道切符の旅」という、国鉄〜JRで最も長い片道切符を実際に買ってその切符で旅をする、という人は少なからずいる。その模様を記したものもいくつかあるが、その中でも宮脇さんが書かれた「最長片道切符の旅」が金字塔であるということは、多くの人が肯くことだろうと思う。宮脇さんの旅から25年余が経った今、「最長片道切符の旅」の二番煎じもそれなりの味がするだろうと思い、この旅を実行するに至った。
ご存じの通り、1978年から現在にかけて国鉄はJRに分割民営化され、そして多くの路線が消えていった。だいたいの場合は代替バスが運行されているのでそれに乗るつもりである。代替バスすらない場合はその都度考える。
以下、宮脇俊三著「最長片道切符の旅」のことを「原典」と称することにする。なお、文中で当時という表現を使った場合、特に断りがない場合は、1978年11月・12月当時のことを表している。
当初はなるべく片道切符を買って旅をするつもりだったのだが、そうなると十数枚に分断された片道切符を使うことになり、何が何だかわからなくなる。それに私は富豪でもなければ高給取りでもないので、なるべく金銭的な負担を軽くしたいと考えている。よって、切符に関しては、周遊きっぷ、フリー切符などを駆使することにした。そのほうが有効期限に縛られないという利点もある。もちろん片道切符を買ったほうが安くあがる場合はそうすることになる。