新居町駅(静岡県新居町)←bc07 ↓JR東海バス(790円・約45分) 殿田口(愛知県豊橋市) ↓豊橋鉄道(250円・約15分) 豊橋駅前(愛知県豊橋市) ↓豊橋鉄道(820円・約75分) 本長篠駅前(愛知県鳳来町) ↓豊橋鉄道(900円・約40分) 田口(愛知県設楽町) ↓設楽町営バス(900円・約40分) 稲武(愛知県稲武町) ↓稲武町営バス(940円・約40分) 足助(愛知県足助町) ↓名古屋鉄道(800円・約40分) 豊田市(愛知県豊田市)→bc09
豊橋行きのJRバス乗り場は、遠州鉄道のバス乗り場とは違う場所にある。目の前では高校生らを送る車が行き来していた。今日のトップランナーはJR東海バスである。実は路線バスの旅でJRバスを利用するのは初めてである。私一人を乗せてバスが出発。途中、潮見坂上というバス停のあたりで太平洋を臨むことができる。途中で小学生の大群が乗車。彼らともう一人のおじいさんが神鋼電機前で降りてまた一人になったが、次のバス停から次々に乗り始め、二川駅でもけっこう人が乗った。私は殿田橋というバス停で降りた。
何故、殿田橋で降りたかというと、ここから豊橋鉄道のバスで豊橋駅へ行けるからである。何故、豊橋鉄道のバスに乗るかというと、ワイド3・3・3フリーきっぷという切符が使えるからである。名鉄、近鉄、南海の3社のグループ会社線が乗れるフリー切符である。今回、運賃の部分に*がついているのは、フリーきっぷで乗車した分である。ほぼ定時にやってきたバスはさすがに混んでいた。途中からは立つ人もいて、さすがに通勤・通学時間のバスである。終点で下車。
豊橋の市内電車乗り場にものすごい行列ができていたのだが、あれは毎朝の光景なのだろうか?大型時刻表に出ているバス路線であるが、それほど混んではいない。名鉄諏訪町駅や豊川の市街地を通過する。豊川I.C.で女性が乗ったが、結局その人と私が終点まで行った。豊橋から豊川I.C.は伊良湖ライナーでも通るコースだと思われる。新城車庫を通ったはずなのだが、うとうとしていたせいか、通ったのかどうかわからなかった。
本長篠駅前から乗ったのは私一人。途中、鳳来峡で地元の人が何人か乗る。そういえば、このバスは観光路線ではないのか?まあ、今日は平日なので観光客はそれほどいないのだろうが。運転士と地元の人が世間話をしている。山奥へと入っていき、海老という集落で私以外の客が全員降り、代わりに何人か乗った。海老には病院があるらしい。昔、ここは鉄道が走っていたそうなのだが、そうとは思えないほどの険しい坂道を登って、設楽町の中心地である田口で下車。お腹が減っていたので、近くの食堂に駆け込んだ。
各方向から来るバスとの接続をとったせいか、少し遅れて出発。路線バスの旅としては初めて乗る廃止代替の市町村営バスである。20人乗りの小さなバスだった。私ともう一人のおばあさんが田口から乗り、次のバス停で老夫婦が乗った。アナウンスが運転士の声でひじょうに聞き取りにくい。路線のほとんどが設楽町域なので、設楽町が運行しているのだろう。一緒に乗ったおばあさんが話していた通り、途中にはこの辺りを襲った大雨の影響で、斜面が崩れている箇所があった。この他に途中で乗った人を含め計五人がこのバスを利用したことになる。
稲武では1時間45分ほど時間がある。幸い稲武町には「稲武温泉 どんぐりの湯」という温泉施設がある。600円也。値段のわりにはいまいちのような気がした。それでも夜行明けなのでありがたく浸かる。バス停に戻ると、車庫の中に足助病院行きのバスが停まっていた。既に小学生が乗っていったので、入庫しているバスに乗るべきらしい。少しすると、小学生がわんさか乗ってきた。一人だけ高校生らしきお姉さんが乗っていた。車庫の中にある蒸し暑いバスの中でいたたまれない気持ちで座っているとやっと出発。次のバス停である稲武温泉どんぐりの湯バス停で、今度は保育園児がぞろぞろ乗ってきた。路線バス史上、いちばん平均年齢が低いバス車内である。私が随分平均年齢を上げている。次のバス停は中学校。ここで、平均年齢が上がった。中年の女性が五人ほど乗ってきたのである。話を聞いていると、稲武温泉に行ってきた帰りのようである。子ども達が降りるバス停ではお母さん達が待っている。次第に車内の子ども達の数は減り、やがて車内にいるのは私と中年の女性達だけになった。郡界橋を越えると、途中かなりの渋滞にはまる。何かと思えば、トンネル内が片側通行止になっていた。
足助といえば、香嵐渓が有名である。さっき乗った稲武町営バスも、今度乗る名鉄バスも香嵐渓を通る。私も足助のバス停から歩いて行ってみたのだが、それほどのことはないように思えた。それでも、若者がけっこういて、若者を見るのは豊橋以来(若すぎる者は見たが)なので、少し嬉しかった。紅葉の季節はすごく混むらしい。足助のバス停に戻ってみると、バスの転車場の端っこの方で、中学生がたくさんアスファルトの地べたに座っていた。もちろん、立っている人もいたが。足助には中学生がバスを待つ方法はこれしかないのだろうか。実際、ないようである。少し時間があったので、街をぶらぶらし、帰ってきてバスを待つ。時間になってもバスは来ない。中学生がこれほどたくさんいるので、乗り損ねることはないと思うが、少し不安になると、バスがやってきた。どうやらこのバスが折り返しで豊田市行きになるらしい。あまたの中学生はこのバスには誰も乗らず、乗ったのは私とおじいさんの二人だった。西中金を経由して豊田市に行くバスは一日二本と稀少である。途中で何人か乗ったが、あたりは既に暗く、しかも西中金やその付近でさっきのおじいさん以外は降りてしまった。うとうとしてしまった。ちなみに名鉄バスはどれだけ乗っても800円より高くなることはない。
関西逃避行編という名前で秋の五日間を集中させたこのシリーズ。本当はこのときは無職だったはずだったのだが、いろいろあって次の仕事に片足を突っこんだまま旅にでることに。"逃避行"という言葉はそういう背景からきている。
夜行バスで豊橋に向かい、そこでワイド3・3・3フリーきっぷを購入。殿田橋で乗換という小技を使いつつ、三河の山中を経て豊田市へたどり着く。稲武町営バスは今でも印象に残っている。