8日連続で行ってきた旅も、今日でひとまず終了を迎える。気持ちを引き締めて、ホテルから駅へと向かった。
敦賀からは小浜線、普通列車の東舞鶴行きに乗る。小浜線に乗るのは2回目だが、以前乗ったときは古いロングシートの気動車だった。今乗るのは、新しいセミクロスシートの電車である。乗る人は多く、座席がだいぶ埋まった。
小浜線は敦賀の街の外れの南のほうを走る。粟野では右後ろのほうに敦賀の街が見えた。車掌が乗っていて車内改札が行われる。一応、無人駅では前降りで運転士横の運賃箱に切符や運賃を入れるワンマン方式なのだが、夏休みで旅客が多いということで車掌も乗務しているのだろうか。
美浜、上中とそこそこ乗降したが、やはり利用客が多いのは小浜である。半分弱の人が降りていったが、乗る人のほうが多かった。小浜を過ぎて小さいトンネルをくぐると海が見える。泳いでいる人もいた。このあたりには海水浴場が多い。
若狭本郷に到着。右手には島のようなものが見えるが、実際は大島半島である。道路標識が大島半島方面に大飯原発があることを示していた。確かに電気をたくさん通しそうな電線があった。
吉板峠を越えると京都府に入っていく。やがて舞鶴市街が見えてくる。そして東舞鶴に到着。乗り換える人と改札へ向かう人で半々だった。
普通列車の福知山行きに乗る。乗るのは1駅、次の西舞鶴で降りる。山を越えて西から東に移動する。駅のまわりの雰囲気を見た感じでは、東のほうが賑やかだった。
ここから乗るのは北近畿タンゴ鉄道宮津線だ。当然青春18きっぷは使えない。駅の自動券売機で切符を買って乗る。1両編成だが、その1両がだいぶ長かった。それでも乗る人が多く、立つ人もいた。海水浴に向かうと思しき若者が多い。今さら「駅に停まっていても、トイレは利用できます。」という案内があった。
最初の停車駅、四所でいきなり列車の交換待ちを行う。特急列車がすれ違っていた。由良川に沿って走って丹後神崎に到着。近くに海水浴場があるこの駅で若者らが降りていった。由良川を渡り、丹後由良にも近くに海水浴場がある。ここで降りる人も多かった。由良の海水浴場には人が多く集まっていた。また、海も間近に見えたが、沖縄の海と見まごうほどにきれいだ。降りてじっくり見てみたいと思ったが、それは別の機会に譲るとする。
栗田でも6分間停車し、東舞鶴行きの普通列車を待つ。向こうはだいぶ空いていた。次が宮福線と交差する駅宮津だ。トンネルをくぐって海と宮津の街が見えてしばらくすると、主要駅らしさがある大きな駅に到着する。三分の一くらいの人が降りていったが、宮福線の列車から乗り継いでくる人が多く、また立つ人がでるほどに混み出す。宮津の次は天橋立で、さすがにここで降りる人は多かった。確かに駅前の雰囲気を見ると観光地らしさがある。ただ、名勝としての天橋立は列車に乗っては見えない。私の中では行ってみたい場所の十指には入っている天橋立であるが、今回は素通りだ。
列車はしばらく走って峰山に到着する。ここで降りる人が多く、これで車内はだいぶ空いた。
しばらく内陸を進んできたが、丹後神野のあたりでようやく海が見える。これが久美浜湾で、地図で見ると湖と言ってもいいのでは思うほどの形をしている。久美浜は京都府最後の駅であり、それを惜しむわけではないだろうが、この駅で対向列車を待つために8分間停車した。
トンネルをくぐって兵庫県に入る。但馬三江を経て、水量の多い円山川を渡って豊岡に到着。
豊岡では駅弁を買った。最初、かにずしを買おうと思ったのだが店になく、鮎の焼ずしを買った。ところがホームに行ってみたら別の売り場があるではないか。駅員はないと言っていたのだが。ここでかにずしを買って、ベンチで食べた。鮎の焼すしは夜に食べることにする。
今度乗るのは、福知山行きの普通列車である。今までの経験から判断して、座れるのも危ういほどに混んでいるのではないかと思っていたが、かなり空いていた。それだったら、駅弁をホームで食べるのではなく、列車の中で食べればよかったと思ったが、食べてしまった以上はどうしようもない。
地味な場所をのんびりと進んで、和田山に到着。ここで降りていく人が多く、少なかった乗客がさらに少なくなった。播但線の列車が停まっていたので、そちらに乗り換える人なのか、それともここで降りる人なのかはわからないが、ともかく福知山に行く人よりも和田山で降りる人が多かった。
養父でも3分間停車したのだが、ここからは各駅ごとに数分間停車する。梁瀬で3分、京都府に戻って上夜久野ではすぐに出発したが、下夜久野で4分、上川口では5分。乗客が少ないから、これによる迷惑を被る人が少ないともいえるが、個人的には福知山での接続時間が短いのでもっと急いでほしいと思う。
上川口を過ぎると、左側に北近畿タンゴ鉄道宮福線の線路が見える、宮福線の駅、荒河かしの木台、厚中問屋をの傍を通過して、福知山に到着。
今度乗る普通列車園部行きは向かい側のホームに停まっていた。2両編成で、既にだいぶ席が埋まっていた。
知らないと絶対に読めない石原(いさ)で、高校生が乗ってきた。綾部では降りる人も多かったが、乗る人はもっと多い。さすがに立つ人がでてくる。
綾部からは数時間前に下流を渡った由良川に沿って進む。場所によっては高い位置に線路が敷いてあって、木々を見下ろしながら進んでいくこともあった。
降りる人よりも乗る人が多く乗客が増えていく傾向にあった。車掌は乗務していたが、一応ワンマン列車のようにいちばん前のドアから降りるということになっている。ただ、後ろの扉から降りていく人もいる。後で車掌が対応したのかもしれないが、どちらにせよ原則が守られていない。
園部で京都行きの普通列車に乗り換える。ほとんど全員の人が乗り換えた。2両から8両への乗り換えなので、いくら混雑した列車からの乗り換えとはいえ、席にあぶれることはない。しかも、降りた列車から離れている1号車に乗ったので尚更である。この間に京都行きの特急列車が通過していった。
園部から亀山までは単線であるが、やがて複線になるそうだ。千代川で対向列車を待つために5分間停車したが、複線になればそういう時間が削減され、所要時間も短縮されるだろう。この駅前には新しい住宅もちらほらとあった。
列車は亀岡に到着。ここまでもこの列車をホームを待っている人の塊は見えたが、後ろのほうに集中していて、いちばん前の1号車にはあまり乗ってこない。亀岡もそうである。
次の馬堀は嵯峨野観光鉄道トロッコ亀岡駅に近い。両駅間を歩いている人が多くいた。トロッコ亀岡駅の前を通過したとき、ちょうど嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車が駅を出発するところだった。5両編成に人がいっぱいだった。嵯峨野観光鉄道はかつての山陰本線の線路を活用して、観光用のトロッコ列車を走らせている。
トロッコ亀岡駅の前を通過するとすぐにトンネルに入る。トンネルを出て川が見えたと思ったらトンネルに入り、またトンネルを出て川が見えたと思ったらトンネルに入り、またトンネルを出て川が見えたと思ったらトンネルに入り、トンネルを出たら保津峡に到着。川下りをしている舟も見えた。トロッコ列車や川下りに比べると、こちらは味気ない。ただ、川がある場所をトンネルで貫くことはできないから、結果的にトンネルを出たときに川を垣間見ることができる。
保津峡を出てもトンネルは続く。抜けて、竹林が見えてきて京都に入ったことを実感すると嵯峨嵐山に到着。乗ってくる人がわんさかといる。次の太秦でも先頭車両に乗る人が多く、立つ人も目立ってきた。ここから京都の西側を回って、終点京都に到着。
京都から西明石までは新幹線への乗車になる。本当は直通する列車に乗りたかったのだが、時間の都合で新大阪で乗り換えとなる。
[のぞみ]に自由席が設定された今、どの列車に乗ってもいい。西明石までの乗車券と特急券を買って、新幹線のホームへと向かう。最初に来たのは、[のぞみ73号]岡山行きである。やってきた列車はとても混んでいた。なんとか座れそうだが、あえて[のぞみ]に乗ることもないと思い、これは見送る。次にやってきたのが[こだま417号]新大阪行きである。これが気の毒なほどに空いていた。これに乗ることにする。1号車に乗って乗客数を数えてみたら、私を含め5人だった。京都で降りた人もわずかだった。
東寺、府境、鳥飼基地、モノレール、大阪空港に着陸する飛行機と、見えるものが目まぐるしく変わる。京都から15分で新大阪に到着。ここが終点で、また乗り換えとなる。それにしても、京都にしても新大阪にしても、新幹線の駅というものは人が多くて目まぐるしい。
今度乗る[こだま677号]が発車する20番線は、他のホームに比べると場末っぽいところにある。広島から来た[こだま656号]が17時4分に到着。車内を清掃して、発車3分前にようやく乗ることができた。せわしい運用だ。2列×2列のグリーン車なみのゆったりとした座席だ。私が乗った5号車の乗客は十人くらいか。待っている間にアイスクリームでも買おうと売店に行ったのだが、めぼしいものがなかった。今日は暑かったからだいぶ売れたのだろう。
新大阪を出るとすぐに兵庫県に入る。密集した住宅が見える。やがて長い六甲トンネルに入り、出たところで新神戸に到着。何人か降りていった。
車内販売員がアイスクリームを売りにきた。買おうかとも思ったが、車内は空調がきいていてあまり食べる気にはなれずやめる。涼しくて空いている新幹線の車内で売るよりも、新大阪駅のホームで売ったほうがよほど売れると思うが、売るほうはたいへんだろう。
[こだま]とは言ってもさすがに新幹線は速い。新大阪から25分で西明石に到着。ここで降りる。
西明石からは新快速長浜行きに乗る。ホームを間違えてしまい、列車が入線するときに気がついて慌てて階段を上り下りする羽目になってしまった。道理でホームに人がいないわけだ。ドアに近い折りたたみの簡易席が空いていたのでそこに座る。
明石に停まった後は、神戸まで停まらない。やがて海が見える。明石海峡大橋や淡路島も見えてくる。通勤途上で海が見えるのはやはりましい。私が乗る通勤電車だと、桜の季節くらいしか景色は楽しめない。
兵庫を通過する際に、停車中の快速列車を抜かす。神戸に到着する前に歩を合わせ、ほぼ同時に神戸に二つの列車がすべりこんだ。定時で走ってこその芸当だが、このコンビネーションはすばらしい。快速からこちらへと多くの人が乗り換えてきた。
三ノ宮、芦屋と停まり、尼崎に停車。当時は快速も停まらなかった駅だが、東西線が開通したことによって、快速だけではなく、新快速も停車する駅となった。ここで下車する。
8日間の連続した日程が終了した。この後、JRとバスを乗り継いで大阪空港へと行き、そこから飛行機に乗って東京に戻った。大阪から東京に行くときは新幹線ではなく飛行機を使うことが多い。いつもは木更津上空から東京湾の上を飛んで羽田空港へと着陸するのだが、この日に限ってお台場のほうをまわっていった。この日の飛行機は空いていて、窓際の席から、お台場の観覧車、花火、東京タワーをじっくりと見ることができた。羽田空港からは、18きっぷが有効、かつ定期券がないという状況だったので、京急、山手線、埼京線、武蔵野線、東上線という経路で帰る。