今回は日本の最北端を目指す。また、国鉄の廃線跡をいくつかたどることにもなる。
紋別ターミナル(北海道紋別市)←bs04 ↓北紋バス(1210円・約70分) 雄武(北海道雄武町) ↓宗谷バス(1930円・約70分) 枝幸ターミナル(北海道枝幸町) ↓宗谷バス(700円・約45分) 浜頓別ターミナル(北海道浜頓別町) ↓宗谷バス(2120円・約145分) 稚内ターミナル(北海道稚内市) ↓宗谷バス(1350円・約45分) 宗谷岬(北海道稚内市)
雄武高校入口行き。紋別から興部までは何度かバスで通ったことがある。名寄本線の遺構も残っている。オホーツク海の青さが鮮やかだ。道の駅があり、以前は鉄道の駅があった興部で数分間停車。ここから先を路線バスで通過するのは初めてである。途中、沢木にあるホテル日の出に立ち寄る。バスの利用客はいなかったが、高台に昇るため、そこからの海の眺めがよかった。高校の登校時間かと思われたが、バスに乗った高校生は数人だけだった。他にも地元の人が数人乗る。そして雄武に到着。高校生がここで降りた。このバスは高校入口行きだが、ここから歩いて学校へと向かうようだ。ここにも道の駅があるが、立派なバス待合所といったほうがいいくらいの設備だった。
枝幸行きのバスに乗る。乗客は私のみ。途中、音稲府というバス停を通る。音威子府と同じ音だが、一文字少ない。当て字のできとしては音稲府のほうがいいように思えるが、無名な分違和感も感じる。バスはオホーツク海に沿って北上する。牧草の緑の向こうに見える海の青。白黒の牛が草を食んでいる。右手に海、左手の向こうに山、という風景がずっと続く。枝幸町内に入り乗客が増えてくる。このバスは枝幸ターミナル行きだが、そのまま町内の巡回線になるようだ。ターミナルで降りた人は少なく、大部分の人がバスに残っていた。
枝幸ターミナルで回数券を買う。長く切れ目が入った紙に金額を判子を捺したものだった。枝幸から浜頓別へは国鉄興浜北線が通っていたが、1985年に廃止されている。枝幸ターミナルの近くには北見枝幸駅跡の碑が建っている。乗客は7人いたが、浜頓別に近づくにつれ減っていき、途中から乗ってくる人はいなかった。沿線に興浜北線の遺構は見あたらなかった。
音威子府から稚内までの天北線代替の長距離路線バスに乗る。以前、音威子府から南稚内まで乗った。今日は稚内まで乗る。長距離を走ることを前提にしているからか、シートピッチが他のバスよりも広い。浜頓別ターミナルでは数分間停車する。10分発だったはずだが、なぜか15分に発車。浜頓別の街を出て、国道238号線を北上していく。浜猿払から内陸部に入っていく。以前猿払駅があったところは交通公園になっているが、周辺に人家は少ない。芦野を経て猿骨でまた海側に戻ってくるが、浜鬼志別でまた内陸に入る。少しいった鬼志別は猿払村の中心部で村役場もここにある。ここのターミナルでまたしばし停車。小石で人が降りていって、ついに乗客は私一人になる。ここから曲淵まで途中にバス停はなく、この間の運賃は570円と、一停間の運賃にしてはかなり高い。かつて天北線が通っていた頃も、小石−曲淵間は日本でも最長の駅間距離であった。要するに途中に何もないということだ。そこを往来する人もほとんどいないということか。その曲淵で一人乗車。沼川では団体が乗ってきて、乗客が一気に増える。左手に稚内空港、右手には大沼さらに利尻富士。少しすると海との再会。声問を経て稚内市街を抜け、終点、稚内ターミナルに到着。
この日の宿の予約がまだだったので観光案内所で宿リストをもらって電話予約をすませる。これから宗谷岬に行くと、なんと稚内ターミナルから宗谷岬までの往復切符というものがあって、往復2700円のところを2430円で乗れるのであった。何もなければ買うところだが、枝幸ターミナルで買った回数券が余っているので買うわけにはいかない。知っていれば買う回数券を調整していたところだったのだが。それにしても、稚内から宗谷岬まで1350円もするとは思わなかった。これも計算外。回数券を買い足そうかとも思ったが、やめておく。複雑な思いのまま宗谷岬を通過する大岬行きのバスに乗る。観光客と地元客が半々くらいでけっこう混んでいる。声問まではさきほど来た道を戻る形となる。途中で下校の高校生が乗ってきて賑やかになる。高校生が「札幌は暑い」などと言っている。確かに稚内よりは暑いだろうが、東京に来たらどうなるのだろう。声問を過ぎると一気に運賃が上がる。富磯あたりでかすかに見えたのはサハリンか。もしそうならば、この旅で初めて外国を見たことになる。高校生は地元の人が降りていき、観光客の割合が高くなる。そして、日本最北端のバス停である宗谷岬に着。十人くらいが降りていき、五人くらいがバスに残った。
帰りは約三十分後のバスで戻り、今日泊まるホテルの最寄りバス停で降りた。宗谷岬自体は過去に何度が来ているのだが、路線バスで来たのは初めてで、今までとは違った感慨があった。日本で最も…というのはそれほど興味はなかったのだが、北に来たのだから、東西南も、と欲がでてきた。