久居駅(三重県久居市)←bc09 ↓三重交通(690円・約40分) 榊原温泉口駅(三重県白山町) ↓白山町民バス(250円・約25分) 一志病院前/一志病院(三重県白山町) ↓美杉村営バス(700円・約40分) 奥津駅前(三重県美杉村) ↓三重交通(1010円・約70分) 名張駅前(三重県名張市) ↓三重交通(800円・約45分) 曽爾役場前/曽爾村役場前(奈良県曽爾村) ↓奈良交通(1060円・約65分) 榛原駅(奈良県榛原町) ↓奈良交通(340円・約10分) 内原(奈良県大宇陀町) ↓奈良交通(580円・約25分) 桜井駅(奈良県桜井市)→bc51 ↓奈良交通(500円・約25分) 天理駅(奈良県天理市) ↓奈良交通(530円・約25分) 近鉄奈良駅(奈良県奈良市)→bc11 | →bc30
バス乗り場には既にバスが待っていた。乗客も少ないながら、いた。榊原温泉に行く人かと思ったら、そこ以前に降りてしまった。かなり細い道を走るのだが、いきなり橋の上で停車した。停車時間が短くなかったので何かと思ったら、前からバスがやってきた。ある程度の道幅がある橋の上でバスがすれ違うことになっているようである。このバスは榊原温泉を通り、実際それらしきバス停名も通過していったが、ぜんぜん温泉街らしくないのである。どこに温泉旅館があるのかわからなかったし。おばさんや女子高校生を乗せて、山中に入る。登って下るのだが、その下り道が細いのなんの。おそらくバス同士ではすれ違えないだろう。榊原温泉口駅と榊原温泉をつなぐ道だから観光道路かと思ったが違うようである。しかも、周りは鬱蒼とした森。少し驚いた。榊原温泉口駅から榊原温泉に行く人も驚くのではないだろうか。駅には通学する学生が多くいた。
今度乗るのは町営のバスである。バスの中で長時間待っていても仕方がないので、駅の待合室で少し待って、バスに乗車。私が乗った時はバス車内にはまだ余裕があったのだが、その後高校生がたくさん乗って、ついに立つ人がでるほど。もし、高校生が全員顔なじみならば私も気まずい思いをするのだが、そういうわけではないようなのでまだ気が楽だった。バスの座席に荷物を置いてどこかへ行ってしまった女の子二人がいたのだが、出発時間になっても一向にやってこない。そうこうしている間にバスは出発。いいのかな、と思っていると、私の近くにいた女の子が携帯電話のメールを受け、運転士さんに声をかける。そしたら、次のバス停で例の女の子が乗ってきた。うーん、見事な芸当。このバスはアナウンスを一切しない。すなわち、降りたいバス停の近くでブザーを押すというシステムである。なんせ私以外は高校生なので不安である。少ししたらお年寄りが乗ってきた。この時間であるし、おそらく病院に行く人であろう。立っている人がいるくらいだったので、席を譲ったら、後ろが空いているのでいいとのこと。後ろを振り返ったら、確かに若干の余裕があった。もう一人お年寄りが乗ってきたが、若干の余裕に座る。真っ直ぐな道に入り、それらしくなってきた頃、何もアナウンスがなされないが、ブザーが押される。おそらく一志病院前である。やはりあのお年寄りは一志病院に通院するのだと思っていると、停車したバス停でなんと高校生が降り始めた。さっきのお年寄りも私にお礼を言って降りた。均一運賃の250円を払って私も降りた。このバスに乗っていた乗客全員が一志病院前で降りたのである。空になったバスは行ってしまった。近くには県立白山高校があった。JR名松線の家城駅からやってくる高校生もいた。
白山町町民バスのバス停は病院に面した通りにバス停があるが、美杉村営バスのバス停は病院の真ん前にある。少し時間があったので、病院の中で待つ。トイレもあるし、売店もあるし、テレビもあるので、かなりいい環境だが、私はお見舞いに来たわけでもなければ病人でもない。携帯電話の電源は切るべきだし、何かと気詰まりである。それにしても立派な病院である。町内でも有数に立派な建物ではないだろうか。バスがやってきた。おそらくこのバスが乗るべきバスなのだが、もう一台やってきた。一応、どのバスがそのバスが聞いて乗車。運賃表を見ると、美杉村営バスは初乗り200円で、100円単位の運賃設定になっている。500円玉と100円玉だけで事足りるようになっている。この時間は病院へ行く人が主であり、病院から行く人は私一人で出発。家城から竹原までは三重交通のバスと並行して走ることになる。最初、白山町内にバス停がないのは三重交通のテリトリーを侵さないためかと思ったが、頼めば三重交通のバス停がある場所でも乗降できるようである。美杉村内は完全にフリー乗降である。途中に古い建物のうら寂しい村の診療所を見た。誰も乗ることはないと思ったが、それでも延べ十人弱が乗った。JR名松線に沿って走るが、名松線も本数が少ない上に、こちらは県道を走る分、便がいいという側面もある。両方とも本数は少ないが、鉄道とバスで選択ができるというのはいいことである。このバスもアナウンスが無かったが、伊勢奥津駅の構内に入っていくことは明らかだったので、ブザーを押して、降車した。
伊勢奥津駅では1時間半も時間がある。名松線の終点である伊勢奥津駅の駅舎には、ノートが何冊も置いてあった。ここを訪れた人が何かしら書いていくのである。私が知っているホームページの管理者の方が書かれている箇所もあった。私も書こうかと思ったが、やめた。名張からバスで来たという人もけっこういた。1010円は高いと書いている人もいた。今日の私はフリーきっぷを持っているので関係ないが、一乗車で1010円は確かに高いかもしれない。10時42分に松阪から来た列車が到着。降りたのは地元のおばあさんと、その筋の男性の二人である。その筋の男性は駅の周りのうろうろした後、列車の中に消えていった。そのおばあさんと地元の女性と私の三人がバスに乗った。石名原という集落には、廃校になった小学校があった。廃校になった小学校の分校を間近で見たことがあるが、別に自分が通っていたわけでもないのに、悲しい気分になったことがある。このバスは三重県美杉村→奈良県御杖村→美杉村→名張市と市村界を複雑に跨いでいく。途中で寝てしまい、気づいたら名張駅だった。
名張駅の近くで昼ご飯を食べようと思う。余裕時間のことを考えると曽爾村で食べた方がいいのだが、何も無かったら困るし、けっこうお腹が空いていた。ところがどこもかしこも混んでいる。名張はこれほどまでに活気がある街なのかと思ったら、時間が丁度お昼時間だった。私はその時間からずれているものだと思っていたので。結局、お昼ご飯は曽爾村に託すことにする。その曽爾村に行くバスに乗る。十人弱が乗ったが、皆お年寄りである。それにしても山深い。細い道な上に、工事をしていたので、難儀してバスは進む。紅葉谷という場所を通るが、紅葉の季節ではないのでただの谷だった。曽爾村に入り、いよいよ本格的に奈良県に突入。今度乗るバスは葛でも乗り換えられるのだが、葛の周りは何もなさそうだったので、予定通り曽爾役場前まで乗ることにする。せめて今度乗るバスが曽爾高原の玄関口である太良路まで来てくれれば。それにしても、太良路という地名はいかにも奈良県っぽいと思う。曽爾役場前に行く途中でご飯を食べられそうな店を発見。役場の周りは何もなさそうだったので、そこまで歩いて戻り、無事昼食にありつくことができた。
役場前まで歩いて戻ったが、まだ時間がある。近くの公民館に図書室が併設されているようだ。誰もいなかったのだが、本はたくさんあったので、本を読んで待つことにした。「お気軽にどうぞ」と書かれていたので、問題ないだろう。時間になったので外に出ることにする。係の人が帰ってきていたので声をかけたら、ものすごくびっくりされてしまった。すいません。やってきたバスは誰も乗っていなかった。ところで奈良交通と三重交通とではバス停名が微妙に違う。葛から山粕西口のあたりまでは奈良交通と三重交通のバスが並行して走っている。とはいえ、両方とも一日数便だが。ちなみに山粕西は三重交通の終点で、そこから少し離れた場所に奈良交通の山粕西口がある。どちらにせよ、山粕は人家もまばらな集落だった。そこから峠道を経て、内牧のあたりになると人家もやや多く、バスの本数も増える。終点榛原駅までは、小学生の女の子、おばさん、私の三人が乗った。
榛原駅は学校帰りの高校生で賑わっていた。このバスに乗ったのも高校生が大半である。ほぼ座席が埋まる。実はこのバスよりもう一本遅いバスに乗っても間に合うはずなのだが、大事をとってこのバスに乗ることにした。高校生達にとっては、毎日の日常の風景。その風景に非日常が溶け込む。内原まではほとんど乗り降りがなく、内原で降りたのも私と女子高生の二人だった。時間があったので、近くのコンビニエンスストアに立ち寄った。次のバスを待っていると、一本遅いバスが通り過ぎていった。
実はここから桜井駅に行くバスはかなり本数が少ない。榛原駅まで行くバスのほうが圧倒的に多いのである。大阪に近いという点では桜井のほうが近くて便利なような気がするが、駅までの距離という点では榛原のほうが有利なのである。そんなバスであるが、内原で唯一の乗客が降りたので、結局、客は私一人である。途中、時間調整をしたのだが、後方からは車が絶え間なくやってくる。ようやく入れて運転士の「お待たせしました」という声を聞いて、切ない気持ちになる。その後で乗客が何人か乗った。
既に真っ暗であるが、まだ終わることはできない。桜井駅を出発する頃はいっぱい人が乗っていたはずなのだが、いつの間にか、途中から乗ってきたサラリーマン風の人と私だけになっていた。途中のバス停で高校生が二十人以上、バス停で待っていて、まさかこのバスに乗るのではあるまいな、と思っていたら、乗ってこなかった。
発車時間になっても、運転士が誰かと外で話しをしている。後ろに乗っていた学生風は明らかに苛立っている。何分かして、運転士が乗った後に、何人か乗客が駆け込んできた。もしかしたら、接続をとっていたのかもしれない。バスの本数はけっこうあるのだが。この道は奈良方向から車に乗って通ったことがあるのだが、今日は真っ暗なので何がなんだかわからなかった。明らかにJR桜井線と並行するが、バスの本数も多いし街中を走るので、需要は大きいと思われる。個人的には、奈良交通最大の都市間路線かと思う。
この日は用心して寝過ごすことはなかった。この日は割とタイトなスケジュールであったが、スケジュール通りに事が運んだ。
この日の宿は尼ヶ辻にあるホテル。近鉄奈良から近鉄電車に乗って向かう。これが最初で最後の「3・3・3ワイドフリーきっぷ」で鉄道に乗る機会である。ちなみにこのフリー切符で乗ったバスの運賃の合計は15,100円。6,000円の切符の値段の約2.5倍も乗ったことになる。