bz06. 芸石雪中行之巻 西条→大田 2004/03/06

導入

山陽から山陰へと行く路線バス乗り継ぎはいくつかあるが、その中でも実行が困難だと思われるのが今回行った乗り継ぎだと思う。何せ命綱は一日一本しかないバスなのだ。江の川に沿って北上する。

行程

西条駅(広島県東広島市)←bc19
 ↓芸陽バス(940円・約40分)
豊栄町役場入口(広島県豊栄町)
 ↓(660円・約25分)
向原駅(広島県安芸高田市)
 ↓備北交通(630円・約35分)
吉田営業所(広島県安芸高田市)
 ↓備北交通(1430円・約80分)
羽須美役場前/口羽(島根県羽須美村)
 ↓備北交通(630円・約30分)
都賀大橋(島根県大和村)
 ↓石見交通(900円・約50分)
粕淵駅前(島根県邑智町)
 ↓(890円・約50分)
大田バスセンター(島根県大田市)→bc48

詳細

#386 西条駅→豊栄町役場入口  芸陽バス  940円  9:25発  約40分

西条に着くと小雪が舞っていた。しばらくすると止んだが、広島の南部で雪が降るとは思ってもいなかった。山間部はもっと降っているだろうが旅行を取りやめにすることはいかない。バスが走る限りは前に進もうと思う。西条駅から世羅西町の小国まで行くバスに乗る。駅で五人、市街でもう一人乗った。一人はすぐに降りたが、あとの人は長い時間バスに乗っていた。高度が上がると日の当たらない場所には雪がけっこう積もっていた。東広島市は市域がけっこう広い。バスは福富町、豊栄町と進むが両町とも東広島市との合併協議が進んでいる。東広島市がさらに広くなる。豊栄町役場入口というバス停で下車。町役場はバス停から坂を登ったところにある。

#387 豊栄町入口→向原駅  芸陽バス  660円  10:21発  約25分

豊栄から向原へと向かうバスは一日二本のみ。しかも日曜休日は運休である。今日の向原行き最終バスに乗る。小型のバスでカードリーダーはなかった。先客が一人いたが豊栄町内で下車。買い物袋を持っていた。向原町改め安芸高田市に入り寺山口というバス停で人が乗ってきた。近くに紙が貼ってあってなんでも寺山口バス停の待合所改修が安芸高田市第一号事業らしい。おそらく「第一号事業」がいくつかあってそのうちの一つなのだろう。ここで現在位置が向原町ではなく安芸高田市であることを思い出した。逆に言うと、現在位置が安芸高田市であることを示す物件はここともう一箇所しかなかったのだ。向原駅に到着。弱くではあるが吹雪いていた。

#388 向原駅→吉田営業所  備北交通  630円  10:55発  約35分

吉田行きのバスに乗る。方向幕が「向原駅」になっていたので吉田行きであることを確認して乗った。乗客は私ともう一人。バスは芸備線に沿って吉田口駅を経由する。吉田の口から吉田へバスが出ているわけだが、乗る人はいなかった。江の川に架かる高屋大橋を渡ったところで渋滞にはまりノロノロ運転になる。吉田では乗り換え時間が充分あるので多少の遅れは構わないのだがそれでも気になる。どうやら事故があったみたいだ。雪が降っているということもあるのだろう。事故箇所を抜けてもそれほど歩みは速くならない。およそ10分遅れで吉田営業所に到着。

#389 吉田営業所→羽須美役場前  備北交通  1430円  12:05発  約80分

吉田と言えば毛利家ゆかりの地である。雪の中街を歩いてみたが、それなりに店が集まっていた。また安芸高田市の市役所があるはずなのだが、道路標識は吉田町役場のままになっていた。吉田営業所でバスカード3000円分を購入する。タクシーが全て出払っていると電話で話している人がいた。雪が降るとタクシーが儲かるのだろう。

吉田から羽須美村の阿須那まで行くバスに乗る。羽須美村はもう島根県だ。このバスの経路を把握していなかったので甲立経由というのはひどく遠回りをしているように感じたが、地図を見たらそうでもなかった。バスは先ほどの道を戻ってまた芸備線に沿って北に進む。甲立からは芸備線と別れ、旧高宮町方面へと進む。旧高宮町役場には「安芸高田市高宮支所」の看板があった。安芸高田市の単語を見たのは「第一号事業」とこの二箇所だけだった。バス停名は役場のままである。三江線の式敷駅前あたりで江の川と沿うが、また山の中に入る。もう少しで島根県というところで客が降りたところで、乗客は私一人になった。途中で窓に積もった雪を除けたりしてバスは若干遅れて羽須美役場前に到着。

#390 口羽→都賀大橋  備北交通  630円  13:53発  約30分

口羽は前から来てみたかったところである。口羽という名前に惹かれた。口羽駅に行ってみようと思ったのだが、思ったよりも集落から離れていた。口羽駅を一通り見た後、降車バス停から乗車するのが筋、と思って来た道を引き返す。途中のバス停の時刻を見てなんとか間に合うだろう、それに雪が降っているからバスも遅れるだろう、と思っていたら、次に乗る都賀行きのバスがやってくるではないか。慌てて手をあげてバスを止める。運転士はどこに行くのか聞いてきたが、こちらはもうパニック状態で言葉が出ない。来る時間が早くないかと聞いたが、時間はいいからどこに行くのと再び聞かれて、ようやく自分が降りるバス停の名前を告げた。バスはこの後羽須美役場前で折り返してもう一度私がバスを止めた場所を通るのだった。それを知っていれば慌てる必要はなかったのだ。この騒動でバスカードを使いそびれてしまった。後で調べてみるとやはり早発していると思うのだが、まあ乗れたのでよしとしよう。

このバスは1日1本日曜休日運休というバスである。そんなバスにこの行程で乗り継げるのは奇跡に近い。口羽の時点で二人が乗っていたが、一人は伊賀和志あたりで降りた。口羽から江の川に架かる両国橋を渡った時点で広島県双三郡作木村に入る。作木村から島根県邑智郡大和村に入る。私は先に告げたとおり都賀大橋で下車。大きな橋が架かっているだけの場所ではあるが、しっかりとした待合所があった。このバスは大和村の中心部を通って都賀都橋まで行く。

#391 都賀大橋→粕淵駅  石見交通  900円  16:18発  約50分

次のバスまでは2時間くらい時間がある。1日1本のバスから乗り継いできたのだから文句は言えない。雪が降っているが余った時間で大和村を歩いてみる。とりあえず村の中心部へと進むと自転車を漕いだおばさんが声をかけてきた。私は分からなかったが、おそらく先ほどのバスに乗っていたおばさんだろう。怪しまれないように返事をしておいたが、怪しく思われるのは仕方がない。大和村を歩いて回る。雪が降っていることもあってか人を見ることはほとんどなかった。都賀大橋バス停に戻る。とにかく待合所がありがたい。しばらく座って待っていると次に乗る石見交通のバスがやってきた。ここが始発地ではあるが、発車時刻より随分前に来てくれたのがありがたかった。

都賀大橋から乗ったのは私一人で途中で小学生が乗って二人の乗客で都賀を離れた。国道を延々と進むのかと思ったら違った。突然橋を渡って江の川左岸の道を走る。都賀行という集落を通るためだ。かつてはこのあたりは都賀行村という一つの村だった。今でも小学校がある。都賀行橋を渡って国道に復帰。潮あたりで小学生が降りて私一人になる。少し進んで信喜橋を渡って国道から離れる。地図で見ると車が通れないのでないかと思うような細い道をバスは走る。確かに人家はあるが乗ってくる人は誰もいない。それでもバスは走る。浜原大橋を渡ると浜原駅に着く。ようやく人家がまとまっている風景を見ることができた。ここで降りてもよかったのだが、粕淵駅まで乗ることにする。定時より少し遅れて到着したが次のバスまで待つ時間が減ったという意味では逆にありがたかった。

#392 粕淵駅→大田バスセンター  石見交通  890円  17:28発  約50分

粕淵からは今日のラストランナー、赤名から来る大田バスセンター行きのバスに乗る。かつてはJRバスが運行していた路線でが、今は石見交通が運行している。粕淵駅に着いた時点で一人が乗っていたが、すぐ降りた。ゴールデンユートピアおおちという施設を通過するが乗り降りはなし。先ほど乗ったバスがここで休んでいた。降っていた雪が湯抱温泉に着いた頃には止んでいた。このあたりで二人乗車。貸切状態が解消される。大田市に入って下ってくると雪は全然積もっていなかった。ここのあたりはたして降らなかったのだろう。このバスは大田市立病院を経由する。大田市立病院で数人が乗車。意外とすぐ降りていって、大田市駅の時点で客は二人。もう一人は駅で降りたが、私は終点大田バスセンターで下車。駅とバスセンターは目と鼻の先だが、この路線バスの旅の正しい終点は大田バスセンターである。

補足

雪が降って天候としては散々だったが、なんとか大田までたどり着くことができた。事前の情報収集が不足していた部分もあって、これは反省材料だが、乗ったバス自体は申し分がなかった。特に都賀から粕淵に行くバスはもう一度乗りたい。だけど、JRを使ってアプローチするとしても簡単には乗れない路線ではある。

集計


初出 : 2004/03/28
最終更新 : 2004/03/28
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